にほんご ちゃん

先生は違いを求められがち

鬼門ーNによるN。

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N3文法の鬼門の話です。

大いに苦しみましたし、いまでもこれが正解とは思っていませんがこんな感じで授業をしておりますの例としてお読みいただければ。

 

TRY・新完全マスター・スピードマスターなど文法解説の接続説明にさらっと書かれている鬼門。

N+によって

N+による+N

 

N+に対して

N+に対する+N                 (他にもあります)

 

さらりと書かれてる「・・・+N」、ここには大きな魔物が潜んでいます。

「はい、connection注意ですよー。うしろが名詞だったら形が変わりますからね!」

………N3くらいになると例文の構造が複雑になり始めるので、かなりの文が「うしろに名詞」なんです。素直な学生たちはみな「名詞だ!」と信じて機械的に選びます。「うしろに名詞」という呪いがかかった学生が陥るのが次の間違い。

 

・A市では、町の開発計画(に対して/に対する)住民から不満が出ているそうだ。

→答えは「に対して」です。   <TRY!より>

 

ですが学生に言われがちです。

先生、住民は名詞です。どうしてですか

 

中級の学生はクラス内での学力差も大きく、この段階では説明らしい説明はなかなかできません。

わたしの場合はプライベートクラスでしたが、まぁ 地獄でした。

 

補足:TRY!の場合、この「うしろに名詞」が初登場するのが「AによってB(手段)」続けて「Aに対してB(対象)」なんですね。よりによってN3の文法の中でも説明乱発しがちな文法で初登場です。

 

1:N4の復習

 

「ちょっとN4の復習をしましょう!」とまずは連体修飾について触れます。

後続句の文法はみな頑張って覚えるんですが、連体修飾はよく勉強する学生でも忘れがちです。

 

「これは本です」「昨日買いました」⇨ながいです、1つにしたいです。

昨日買った本です。

「あれは俳優です」「私は好きです」⇨ながいです、1つにしたいです。

私が好きな俳優です。   

しつこいですが、ここで変換練習をいれてもいいかもしれません。

 

学生が節を作れるようになったところで、

普通形+名詞は、大きい名詞です。普通形の文は名詞を説明します。

とまとめます。

私は今後の説明が楽なので「大きい名詞」という言葉で表してます。

 

この確認ではごくごく簡単な例文を使います。文型に集中してほしいので、未習語や既習語でもあまり定着していないと感じた言葉は使いません。

「普通形の文は名詞を説明します」これも「plain form の sentenceはnounをexplainします」ぐらい言う時もあります(わたしの英語はN5くらいです)

 

 

2:文の分解

文が名詞を説明することがある、というのを思い出させてから次の段階です。

 

前出の例文で考えてみます。

 

 ・A市では、町の開発計画(に対して/に対する)住民から不満が出ているそうだ。

 

 後ろから考えてみましょう。 

 

学生が固まったり混乱するといつも「はいはい!大丈夫!もうね、シンプルにしましょう。まずは文のボーン(born骨)を考えましょう!」と言っていました。

 

不満が出ています+そうだ(伝聞)=不満がでているそうだ。

↓だれから?どこから?どこで?

A市で、住民から不満がでているそうだ。

これがこの文の骨格ですね。

 

じゃあ残りの節「町の開発計画(に対して/に対する)」について。

これは大きな名詞ですか?それとも不満のパワーの方向(direction)ですか?

感のいい学生だと、「町の開発計画」が「住民」の説明にならないことはピンと来てくれます。

 

住民は不満です。なにに?⇨町の開発計画に⇨開発計画に対して不満です。

※「〜に対して(対象)」ご覧ください。

 

ここでもう一つの例文をするといいかもしれません。

社員の要求(に対して/に対する)会社側からは何の回答もなかった。

(教科書ではこの例文が先にありますが、「なんの」とか「も」など文法要素が多いので、順番を入れ替えることもあります)

 

早い話、「この塊が何の説明をしているか」なんですがN4終わったばかりでこれが理解できる学生はなかなかおりません。

なんなら初級の連体修飾節をスルーしたままにしておきたい学生がほとんどだと思います。ですからコース初めのうちのこのステップで連体修飾からは逃げられないことを

見せておくのが肝要かと思います。

 

 

先生の宿題 

わたしはこのステップをせず地獄になりました。その日は「ごめん先生の宿題!」といってこの部分を中断しました。

 

この時の学生は中断に対して何の不快感も見せず、むしろ次の説明を楽しみにしてくれるような学生でした。ギャーギャー言う学生だったら不要な説明を並べ立ててねじふせていたかもしれません。

満を辞して再挑戦。

 

この時は「〜に対して(対象)」のリベンジも兼ねていました。

nihongochan.hateblo.jp

 

厳選した無駄のないことばで例文から示したところ

「ぁー…わかりました。教科書の英語の説明より先生のほうがわかります」

これ以降は簡単でした。

「はい、文で大きい名詞を作りたいときは形かわりますよー」

 

再挑戦の機会を与えてくれた彼には今でも感謝しています。こうやって自分も学んでいくんだなと改めて実感したときでもありました。

この記事は「うしろに名詞」の呪いを解くステップを私なりにまとめてみたものです。

私はここを簡単に通ろうとしたため地獄をみました。

もし 「うしろに名詞」の呪いにかかった方がおられたら、お祓いよろしく軽い気持ちで読んでいただけたらうれしいです。