N3 文法 〜たばかり/〜たところ
N3文法 〜たばかり/〜たところ
Aたばかり:Aをしてすぐ
Aたところ:Aをしてすぐ
同じですね。N3の教科書に登場する「ばかり」「ところ」。
中級入り口の難所といってもいいかもしれません。
多いんですよね、「ばかり」「ところ」。うじゃうじゃあるんですよ。
初級になかった「用法が多い」「似てるのがある」なので、N4の延長で来ている学生は多いに苦しむでしょう。
「ばかり」「ところ」、似てますね。
同じですか?ちがいます。
この文法について、N3の段階で厳密に違いを説明する必要はありません。
ですが続く「ばかり天国」の道中、学生に違いを求められたらこんな感じで伝えてみるのはどうでしょうか。
まずは比較しましょう。
比較①
○さっき聞いたばかりだから、まだ考えがまとまっていない。
○さっき聞いたところだから、まだ考えがまとまっていない。
→違和感ありません。ですが受ける印象が少し違います。
比較②
○先月店を始めたばかりだから、まだまだ客足はにぶい。
×先月店を始めたところだから、まだまだ客足はにぶい。
→「〜たところ」は違和感があります。「先月」をカットするとまぁ使えないこともない、という印象に変わります。
比較③
×駅についたばかりに、メールが来た。
○駅についたところに、メールが来た。
→「〜たばかり」はとてもおかしいですね。
まずは比較③からみてみましょう。
これは接続の問題です。文法の接続は動詞の活用に目が行きがちですが、この場合は後ろの助詞が大切です。「〜たばかり」は助詞「に」に接続することができません。
反対に、「〜たところ」は「の」に接続することができません。
例:○食べおわったばかりのタイミングで彼がきた。
×食べおわったところのタイミングで彼がきた。
次に比較①。受ける印象は違いますが、意味は通ります。
比較②の例文をみてみましょう。「先月」という語彙がネックになっています。
「先月」というと、この2つの文法の意味「〜てすぐ/〜した直後」と合わないですね。ですが、「店を始めたばかりで〜」この文法は○です。
つまり「〜たばかり」は時間的にすぐ、ではなく話者の感覚で「まだ時間がたっていない」と感じる場合は使うことができます。
反対に「〜たところ」は感覚ではなく時間的に「〜した直後」を意味する文法と言えます。
「〜たばかり」のほうが時間の幅があるので、どちらにも使うことができます。
違いを求めがちな学生に質問されたら、
「どちらもVしてすぐ、だね。でも『〜たばかり』はあなたのフィーリング、『〜たところ』は時間。接続は注意してね」と説明しすぎずに言ってあげるといいかもしれません。