N2文法 〜てしょうがない/〜てたまらない
N2文法
〜てしょうがない/〜てたまらない
これはN3に分類されている場合とN2に分類されている場合と、教科書によって異なります。
新完全マスター・日本語総まとめはN2
TRY!・スピードマスターはN3でそれぞれ登場しています。
ここでは老舗教科書に合わせてN2文法としておきます。
Aてしょうがない:とてもAと感じる Vて/いA くて/なA で+しょうがない
Aてたまらない:とてもAと感じる Vて/いA くて/なA で+たまらない
おなじです。
強くAと感じる、Aという感情・感覚をおさえることができない。と多くの教科書には書かれており、主に自分の感情・感覚を表現するときに使います。
第3者について使う場合は「〜ように見える」「〜ようだ」「〜はずだ」など「〜と思う」系統の文法と合わせて使われることが多いです。
教科書ではこの2つに「しょうがない」のバリエーションの「〜てしかたがない」が加わり、違いを求めがちな学生は少し困ってしまいます。
基本的には同じですが、「くらべてわかる日本語表現文型辞典」に基づいて少し比較してみましょう。
比較❶
○ロックダウンが続き、この先どうなるか不安でしょうがない。
○ロックダウンが続き、この先どうなるか不安でたまらない。
→どちらも違和感ありません。
比較❷
○さっきから歩きっぱなしで、のどが乾いてしょうがない。
△さっきから歩きっぱなしで、のどが乾いてたまらない。
→「てたまらない」にほんのわずか、違和感を感じるような…。
比較❸
×仕事終わりのビールはうまくてしょうがない。
○仕事終わりのビールはうまくてたまらない。
→「たまらんなぁ〜」に代表されるこの場合。「〜てしょうがない」は違和感があります。
まとめると、この文型はとても似ていてチェンジがOK。
ですが、場面によっては置き換えができません。それぞれを詳しく見てみましょう。
「〜てしょうがない」は「Aの気持ちを抑えることができない」、
「〜てたまらない」も「Aの気持ちを抑えることができない」という意味。
ですが「たまらんなぁ〜」は「しょうがないなぁ〜」に置き換えできません。この状況を例文③でもう少し詳しくみてみると、「仕事終わりの乾杯から1杯目のビール、今この瞬間に抑えることができない気持ち。それもマイナスではなく超プラス、つまり最高。」
「〜てたまらない」には「Aを抑えることができない」の他に①今この瞬間②最高、という意味を含んでいると言えます。
「〜てしょうがない」には今よりも少し長い時間続く感情に使うとしっくりきますし、最高!という意味はありません。
ですから比較③のような場面で「〜てしょうがない」を使うと違和感があります。
おまけとして。教科書によっては、
・〜てたまらない、は体の感覚につかう(例;かゆくてたまらない)とありますが、正直なところ体の感覚に「〜てしょうがない」を使ったところで違和感はありません。
文法の教科書に登場する例文くらいの長さですと、Aが長く続いているのか・その瞬間なのか判断できないことが多いからです。
比較④
○孫がかわいくてしょうがない。
○孫がかわいくてたまらない。
→時間や場面を特定できる要素がないので、どちらも○
比較⑤
△節分の鬼をみたとたん、弟は怖くてしょうがないらしく大泣きした。
○節分の鬼をみたとたん、弟は怖くてたまらないらしく大泣きした。
→「鬼をみた」という時点が特定できるので「〜てしょうがない」は少し違和感があります。
ちがいを求めがちな学生に聞かれたら、
「2つともとてもよく似ていてチェンジができます。でも、今!や最高!という気持ちがあるときは〜てたまらない、がいいね。」と条件を付け加えておくといいかもしれません。