N2文法 〜ないわけにはいかない/〜ざるを得ない
N2文法
〜ないわけにはいかない/〜ざるを得ない
N2新完全マスターに登場する文法です。
Aないわけに(は)いかない:Aしなければならない Vない(意思)+わけにはいかない
Aざるを得ない:しかたなくAする Vない(意思)+わけにはいかない
結局「しなければならいない」だよね。
わたしたちも感覚で使い分けてる文法です。
教科書によっては続けて登場するので、学生は混乱しがち。
比較❶
○親戚なんだから、富山のおじさんを呼ばないわけいにかない。
○親戚なんだから、富山のおじさんを呼ばざるを得ない。
→どちらも違和感ありません。少し受ける印象が違います。
比較❷
○どんなにお金がなくても、食べないわけにはいかない。
×どんなにお金がなくても、食べざるを得ない。
→「ざるを得ない」は違和感があります。
比較❸
?この天気じゃ明日の登山はあきらめないわけにはいかない。
○この天気じゃ明日の登山はあきらめざるを得ない。
→「ないわけいにはいかない」はなんだかよくわからない文になってしまいました。
まとめると、この文型は「〜なければならない」に置き換えることができる場合はどちらを使ってもOK。
ですが、場面によっては置き換えができません。それぞれを詳しく見てみましょう。
「Aないわけにはいかない」は「Aをする義務がある/Aをする必要がある」、
「Aざるを得ない」は「残念だがAをしよう、いやだけど」という意味。
<比較①の場合>
◆呼ばないわけにはいかない
→親戚という関係上、呼ぶ義務がある。この場合、話者の気持ちは含まれていません。
◆呼ばざるを得ない
→親戚という関係上、断れない。嫌だけど、呼ばなければならない。この場合、話者は「呼びたくない」という不快・残念の気持ちがあります。
<比較②の場合>
◆食べないわけにはいかない
→生きるための「必要」。ですから文として違和感はありません。
◆食べざるを得ない
→「嫌だけど、食べなければならない」?死にたいの?ということで、この文の場面では「ざるを得ない」を使うと違和感があります。
比較③の場合、これは難しいですね。
あきらめないわけにはいかない?????
よくわかりませんね。
もう少し比べてみましょう。
?君がそんな態度を続けていたら解雇しないわけにはいかないよ
○君がそんな態度を続けていたら解雇せざるを得ないよ
これも「わけにはいかない」は違和感があります。
「あきらめざるを得ない」「解雇せざるを得ない」この場合、話者にとって他に選択肢がありません。つまり「〜ざるを得ない」には「嫌なんだけど、他に選択肢がないからA」という意味。
対して「〜ないわけにはいかない」は他に選択肢があり、何なら選ぶこともできるけど義務やその他事情でAしなければならない=自らAを選択する、と言うことができるでしょう。
ですから文脈から他の選択肢がないとわかるときは「〜ざるを得ない」を使うと文がしっくりきます。
ちがいを求めがちな学生に聞かれたら、
「チェンジができる場合もあります。
でも、『ないわけにはいかない』は義務(duty)や事情(circumstances)があるのでA。『ざるを得ない』は嫌だけどno choice。
だからチェンジすると、嫌なんだけど、がプラスされるから注意が必要です。」と条件を付け加えておくといいかもしれません。