日本語教師の定点観測
日本語教師のための定点観測
以前のブログにも書きましたが、わたしは日本語教師になる明確な目的があり、信じられない熱量で検定に合格しました。
ですが日本語教師になって数年たち、そのときの目的は喪失、今は生活の糧として日本語教師の「職を務めて」います。
仕事なので生活の糧自体が目的であり、やりがいなど無くてもいいしそういった人が大半であることも承知しています。
ですが、何のために日本語教師をやっているのか、日本語教師て何なのか、そういった核が自分の中にないと感じたときこの仕事を続けることが不安になりました。
超短期間で検定に合格したあの異常な集中力や新人時代にあった授業への熱量はどこへいってしまったんでしょうか。
そこで日本語教育学会の研修に参加。不安を解消するための知識をつけるつもりでしたが自身の課題を解決するタイプの研修で、メンバーそれぞれが自分の解決したい課題に向き合うというものでした。教室活動や教授法などを揚げる先生が多い中、ひとりまるで根性論、このようなものを作りました。
日本語教師のための定点観測
このツールは何かと比べるものではなく、ただ変化を観察することを目的としています。横軸には自分と他の先生、縦軸には今の自分と今までの自分・これからの自分がいますが、比較や評価ではないことが前提です。
「定点観測」の名前の通り、同じ質問を何回も積み重ねることで自己深化を測ります。時間を置いて回答することで「以前の自分はこんなことに悩んでいたのか」など、自身の変化に気づくことがあるかもしれません。反対に何度回答しても変わらないものもあるでしょう、それは自身にとって大切なことかもしれないし、抜け出せない部分なのかもしれません。
- 直感的に以下の質問項目に回答する。
- 長いものではなくシンプルなものが望ましい。
- 回答内範囲について、技術面でも精神面でも対人関係でも構わない。
- 視覚化、言語化が重要なので自身の回答を自身で見えるようにする。
❶日本語教師になってどのくらい経ちますか
❷日本語教師になろうと思ったきっかけはなんですか
❸日本語教師以外の経験で日本語教育に役立っていることはありますか
❹どんなことで達成感を感じますか
❺どんなときに無力感を感じますか
❻日本語教師になって一番初め教壇に立った時と比べて変わったことは
なんですか、反対に変わらないものはなんですか。
❼憧れる日本語教師像(実在する人、イマジナリーでも)はいますか
❽あなたは今、どんな日本語教師ですか
❾これからどんな日本語教師になりたいですか
できるまでの経緯
私本人を知っている人からすると「またかよ」であるが、エヴァンゲリヲンとヨガが大きく影響。
エヴァンゲリヲンTVシリーズ最終話で綾波レイが「何を願うの、何をのぞむの」という問いを繰り返しシンジくんにしています。
またヨガニードラという瞑想に近いタイプのヨガでサンカルパ(サンスクリット語で「思い描くもの」「のぞみ」)を探ることがあります。
これは発表するわけでもなく自分にとって一番大切なものは何か自覚するというもの。何でもいいし変わってもいいのです。
一番良くないのは、例えば「自分は母親だから自分より子供を大切にしなければならない」という思考。別に今この瞬間、自分が一番大切でもいいわけで、それを自覚することですっきりと子供に向き合うことができるようになる、というものです。
そしてアシュタンガヨガ。これは毎回同じポーズを取るという伝統的なヨガで、同じポーズを繰り返すことで変化に気づくというもの。私は前半ちょっとをやっている程度ですが、進むにつれてとんでもないポーズも出てきます。
この「自分のほしいもの」と「繰り返す」から日本語教師のための定点観測は生まれました。
「振り返り」や「自己深化」を1人で行うのは難しいと言われています。わたしもよく自分を振り返って暗い思考に陥ってしまうことが多かったです。ですが順番にそって質問に答えると、思考の溝にはまることはないかと思います。
自分の真ん中に何があるか、覗いてみることで日常が少し変わるかもしれません。その変化が教室を変え、学校を変え、日本語教育業界がほんの少し変わるかもしれません。